

労働時間に関する労使トラブルと就業規則
労働時間・休暇・休日に関する労使トラブルのうち、ここでは労働時間に関して考察してみたいと思います。
このページでは、労働時間に関する労使トラブルのうち、就業規則で定められた労働時間以外の時間(作業服着替え時間)が労働時間とみなされるかどうか、について述べてみます。
(三菱重工業長崎造船所事件 最一小判平12.3.9 民集54‐3‐801)
会社は、昭和48年4月から完全週休2日制の実施に伴い、就業規則において一日の所定労働時間を8時間(始業午前8時、休憩午前12時から午後1時、終業午後5時)と定めました。
原告の労働者は、新就業規則の定めに従い、
原告は、所定労働時間外に行うことを余儀なくされたこれら一連の行為は、労働基準法上の労働時間であるとして、会社に対して割増賃金の支払いを求めて提訴しました。
最高裁判決は、「労働基準法上の労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであり、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない。
労働者が就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、またはこれを余儀なくされたときは、その行為を所定労働時間外に行うものとされている場合でも、その行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できる。したがって、その行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当する。」と述べています。
そして、(2)、(3)及び(6)は使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、労働基準法上の労働時間と認められましたが、その他の労働者の行為は使用者の指揮命令下に置かれておらず、労働基準法上の労働時間には該当しないと判断しています。
したがって、最高裁によって、労働者が使用者の指揮命令下に置かれた時間が労働時間であり、労働契約、就業規則、労働協約の定めによるわけではないことが明かにされてしまったため、就業規則上「従業員は始業時刻までに着替えを済ませておかなければならない。なお着替えに要する時間は労働時間とは取り扱わない」と定めても、裁判になれば着替えに要した時間を時間外労働とみなされ、割増賃金の支払いを命じられるおそれがあるので注意が必要です。
次に休暇・休職について考察してみたいと思いますが、これに関してはブログをご覧ください。
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