

危険な就業規則規定例(賃金)
危険な規定例
(昇級)
第○○条
昇級は、毎年4月1日に基本給を改定することにより行う。ただし、会社の業績によっては昇級を行わないことがある。
解説
毎年、必ず昇給(定期昇給)するという規定は近頃ではあまり見受けられなくなり、ただし書き以下のように、昇級を行わないことがある旨定めているのが当たり前になってきましたが、これだけでは足りません。会社の業績や従業員の成績によっては、降給もあり得ることを定めておく必要があります。
一般に職能資格制度の下では、従業員が仕事の経験を積み重ねることにより、職務遂行能力が上昇し、職能資格等級も上昇していきます。当然、賃金も資格の上昇と共に上昇し、結果として年功序列的な運用となりがちです。本来、降格は原則としてあり得ない制度ですが、従業員の成績によっては降格させたいと思うのは経営者として当然の考えです。
そこで、会社が一方的に従業員の職能資格を引き下げることが可能かということになりますが、「職能資格制度の下で資格や等級を引き下げることは、一方的な賃金引き下げ措置であり、労働者との合意や就業規則等に根拠がなければ行えず」(アーク証券事件 第1次仮処分事件、第2次仮処分事件)、「一旦備わっていると判断された職務遂行能力が、営業成績や勤務評価が低い場合にこれを備えないものとして降格されることについては、就業規則の規定、労使慣行又は当事者の合意がないときには、降格は法的な根拠を欠き、賃金を一方的に減額することは許されない」(アーク証券事件 東京地裁平成12年1月31日判決)とされています。
そこで、就業規則において職能資格の引き下げに関する明確な根拠を定めておく必要がありますが、現在では従業員の潜在能力に格付けする職能資格制度は時代遅れであり、顕在化した能力を評価基準とする役割等級制度が主流となりつつあります。
危険を回避する規定例
(昇給・降給)
第○○条
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