1ヶ月間の連続した有給休暇の取得がトラブルになったことがあります(時事通信社事件 最高裁第三小判 平4.6.23 労判613.6)。
このブログでは労使トラブルを防止・解決し、
会社を守るための就業規則はいかにあるべきかきを察していきたいと思います。
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1ヶ月間の連続した有給休暇の取得がトラブルになったことがあります(時事通信社事件 最高裁第三小判 平4.6.23 労判613.6)。
ニュースの提供を主とする通信社Yの記者Xはモスクワ支局勤務を経て、本社勤務となり、科学技術庁記者クラブに所属していました。
約1年間はA記者との複数配置でしたが、同記者が退職後はXの単独配置となっていました。
Xは、前年度の有給休暇20日間を繰り越していたので、当年度分20日分と併せて40日分の有給休暇日数を有していました。そこで、社会部長Bに対して、約1ヶ月間の有給休暇を取り、ヨーロッパの原子力発電の取材をしたいと、口頭にて申し出ました。
B社会部長は、Xに対して、2週間ずつ2回に分けて有給休暇を取って欲しいと思い、前半の休暇は認めるが後半に関しては時季変更権を行使し、認めませんでした。
Xは、B社会部長が行使した時季変更権を無視、約1ヶ月間の有給休暇を取得、ヨーロッパの原子力発電取材に出発し、その間は勤務しませんでした。
そこでY社は、Xが時期変更権を無視した後半の有給休暇取得日について、業務命令に反して就業しなかったことが、就業規則に規定された「職務上、上長の命令に違反したとき」とする懲戒事由に該当するとして、Xを譴責処分に処し、同年の賞与からは、欠勤と判断された有給休暇の後半部分を控除して支払いました。
Xは、時季変更権の行使は違法であるとして、譴責処分の無効確認と減額された賞与の支払いを求めて提訴しました。
1審は時季変更権の行使を適法と判断、2審では違法と判断したため、Y社は上告しました。
最高裁は「Xは、約1ヵ月の長期かつ連続した有給休暇をY社との十分な調整を経ないで時季指定を行った。Y社のB社会部長は、1ヶ月間も専門記者が不在では取材報道に支障を来すおそれがあり、代替記者を配置する人員の余裕もないとの理由をあげて、Xに対し、2週間ずつ2回に分けて休暇を取って欲しいと回答した上で、本件時季指定にかかる後半部分についてのみ時季変更権を行使しており、当時の状況の下で、Xの本件時季指定に対する相当の配慮をしている。
これらの諸点に鑑みると、社会部内において専門的知識を有するXの担当職務を支障なく代替しうる記者の確保が困難であった状況のもとにおいて、Y社がXに対し、本件時季指定通りの長期にわたる年次有給休暇与えることが「事業の正常な運営を妨げる場合」に該当するとして、その休暇の一部について本件時季変更権を行使したことは、その裁量的判断が、労働基準法第39条の趣旨に反する不合理なものであるとは言えず、同条3項(現4項)但し書き所定の要件を充足するものというべきであるから、これを適法なものと解するのが相当である。」として破棄差し戻しの判決を下しました。
同判決では、連続24日間の有給休暇請求に対し、後半の12日間について会社の時季変更権の行使を適法としています。労働者が長期連続有給休暇を請求した際に、無用のトラブルを避けるためには以下のような就業規則を規定しておくと良いでしょう。
就業規則規定例
(長期にわたる年次有給休暇の申請)
第○○条
従業員は、13日以上の長期連続有給休暇を申請する場合には、取得を希望する休暇日の初日より1週間前に上長に届出の上、会社と事前の調整を経なければならない。
参考条文
労働基準法
(年次有給休暇)
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
○2 使用者は、一年六箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日(以下「六箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数一年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる六箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の八割未満である者に対しては、当該初日以後の一年間においては有給休暇を与えることを要しない。
六箇月経過日から起算した継続勤務年数 労働日
一年 一労働日
二年 二労働日
三年 四労働日
四年 六労働日
五年 八労働日
六年以上 十労働日
○3 次に掲げる労働者(一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の有給休暇の日数については、前二項の規定にかかわらず、これらの規定による有給休暇の日数を基準とし、通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数(第一号において「通常の労働者の週所定労働日数」という。)と当該労働者の一週間の所定労働日数又は一週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とする。
一 一週間の所定労働日数が通常の労働者の週所定労働日数に比し相当程度少ないものとして厚生労働省令で定める日数以下の労働者
二 週以外の期間によつて所定労働日数が定められている労働者については、一年間の所定労働日数が、前号の厚生労働省令で定める日数に一日を加えた日数を一週間の所定労働日数とする労働者の一年間の所定労働日数その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める日数以下の労働者
○4 使用者は、前三項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
○5 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項から第三項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち五日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。
○6 使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇の期間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、平均賃金又は所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払わなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間について、健康保険法 (大正十一年法律第七十号)第九十九条第一項 に定める標準報酬日額に相当する金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。
○7 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第一号 に規定する育児休業又は同条第二号 に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間は、第一項及び第二項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす。
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