もともと退職金の支払い義務はありませんが、就業規則(退職金規程)や労働契約において、あらかじめ支給要件が明確に定められていれば、労働基準法上の賃金とされ、使用者に支払義務が生じます。(昭和22.9.3 基発17号)
このブログでは労使トラブルを防止・解決し、
会社を守るための就業規則はいかにあるべきかきを察していきたいと思います。
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もともと退職金の支払い義務はありませんが、就業規則(退職金規程)や労働契約において、あらかじめ支給要件が明確に定められていれば、労働基準法上の賃金とされ、使用者に支払義務が生じます。(昭和22.9.3 基発17号)
退職金の定めをする以上は、就業規則に「適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項」を記載しなければなりません。(労働基準法第89条3の2号)
「退職者の請求による7日以内の賃金支払義務(労働基準法第23条)」「毎月1回以上、一定期日の支払義務(同24条)」「非常時の既往労働分の支払義務(同25条)」は、退職金が労働基準法上の賃金であるとしても適用されません。
退職手当は、通常の賃金の場合と異なり、予め就業規則等で定められた支払時期に支払えば足りるものである。(昭26・12・27 基収5483号、昭63・3・14 基発150号)
退職金には、賃金後払い的な性格と功労報償的な性格を併せ持っています。
退職金を賃金の後払いととらえれば、就業規則(退職金規程)の退職金減額・没収条項は、「賠償予定の禁止(労働基準法第16条)」「全額払いの原則(同24条)」「減額の制限(同91条)」違反となります。
しかし、功労報償的なものととらえれば、就業規則(退職金規程)の退職金減額・没収条項は、公序良俗に反しない合理的なものであれば、有効と解されます。すなわち、労働契約上(就業規則上)根拠が有り、支給条件が明確で、在職中に功労がなく、退職後も在職中の功労を毀損するような行為があれば、減額・没収も可能と考えられます。
退職金の減額を争った事件があります。(三晃社事件 最高裁第二小判 昭52.8.9 労経連958.25)
労働者Yは広告代理店を営むX社に昭和38年から10年勤務の後、昭和48年7月20日に自己都合退職し、X社は退職金規則に基づいてYに648,000円を支払いました。
ところが、8月9日、Yは同業他社に就職。
X社の退職金規則には、退職金は退職発令後本人から請求があった時から7日以内に支払い、退職後同業他社へ就職した場合には自己都合退職の半額の乗率で計算されると規定されていました。
Yは、入社の前に、退職後同業他社に就職、あるいは自営するときには必ずX社の承諾を得るとの誓約書をX社と交わしていました。その上、退職金を受ける際にも今後同業他社に就職した場合は、退職金規則の定めるところにより、退職金の半額である324,000円をX社に返還することも約していました。
そこで、X社は退職金規則に則り、Yに対して退職金の半額にあたる324,000円を不当利得であるとして返還請求しました。
最高裁は「X社が営業社員に対し、退職後の同業他社への就職をある程度の期間制限することは、直ちに職業選択の自由を不当に拘束するものではなく、X社が退職金規則において、右制限に反して同業他社に就職した退職社員に対して、自己都合退職の半額と定めることも、退職金が功労報償的な性格を併せ持っていることに鑑みれば、合理性のない措置であるとすることはできない。
制限違反の就職をしたことにより、勤務中の功労に対する評価が減殺されて、退職金の権利そのものが一般の自己都合退職の半額しか発生しないとする定めは、その退職金が労働基準法上の賃金にあたるとしても、同法3条、16条、24条及び民法90条等の規定になんら違反するものではない。」との判決を下しました。
同業他社へ就職した場合の退職金減額が有効とされるには、退職金を減額するほどの背信性があったのかどうかを、就業規則(退職金規程)の支給制限条項の必要性、減額率の妥当性、競業禁止の範囲(対象、地域、期間)、退職の経緯、同業他社への就職による会社の具体的な損害等を総合して判断しなければなりません。
就業規則規定例
(退職金)
第○○条
退職金は、勤続3年以上の者に対し退職後3ヵ月以内に支払う。
2 入社時の誓約書に違反して同業他社に就職又は同業種を自営する者に対しては、退職金の半額を減額又は没収する。
3 以下省略
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