有給休暇、産前産後休暇、育児・介護休業等を取得したことを理由として賞与の減額査定は可能でしょうか?
このブログでは労使トラブルを防止・解決し、
会社を守るための就業規則はいかにあるべきかきを察していきたいと思います。
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有給休暇、産前産後休暇、育児・介護休業等を取得したことを理由として賞与の減額査定は可能でしょうか?
賞与の算出の際、年次有給休暇の取得日を欠勤日として扱い、賞与を減額したことを違法としている裁判例があります。(エス・ウント・エー事件 最高裁第三小判 平4.2.18 労判609.12)
ところが、同じ年次有給休暇取得者に対しても、皆勤手当の不利益取り扱いについては、年次有給休暇を取得する権利の行使を抑制し、ひいては労働基準法が労働者に有給休暇取得の権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められるものでない限り、公序に反して無効となるとすることはできない、とされました。(沼津交通事件 最高裁第二小判 平5.6.25 民集636.11)
この事件は、タクシー会社において稼働率を高めるなど特殊事情があり、皆勤手当の額も大きくはないことから、年次有給休暇を取得したことを皆勤手当の不支給要件とする程度の取り扱いを無効とすることはできない、としたものです。
昇給については、稼働率80%以下の者を昇給の対象外とする労働協約(「就業規則」ではありませんが)において、年次有給休暇取得日の不就労を稼働率算定の基礎とする部分は公序に反し無効であるとされた例があります。(日本シェーリング事件 最高裁第一小判 平1.12.14 労判553.16)
上記、沼津交通事件において「「有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」と規定した昭和62年改正労基法附則136条は努力規定であり、私法上の効力は存しない」とした判決は異論が多く、「年休権保障の本旨と、昭和62年改正の意義を理解しない見解で賛成できない」とする有力な学説があります。(菅野和夫「労働法」第八版 P315)
ところで、産前産後休暇(労働基準法第65条)、生理休暇(同68条)、育児・介護休業(育児・介護休業法)等を取得した場合の賞与査定減額に関しては問題があるでしようか?
これらの休暇・休業期間に関しては年次有給休暇の適用については、出勤したものとみなされます(労働基準法第39条第7項)が、賞与の査定において不支給とするのは公序に反して無効ですが、ノーワーク・ノーペイの原則から減額支給することは可能と思われます。
就業規則規定例
(賞与)
第○○条
会社は、前年11月1日から当年4月30日までを査定期間とし7月に夏期賞与を支給し、当年5月1日から当年10月30日までを査定期間として12月に冬期賞与を支給する。ただし、会社の業績、従業員の勤務成績等やむを得ない事由がある場合には、支給しないことがある。
2 前項の賞与は次の各号に該当する者に対し支給する。
(1) 査定期間中及び支給日に在籍し、かつ通常に勤務していた者
(2) 査定期間中に定年退職日が到来する者
(3) 査定期間中に死亡した者
(4) 査定期間中の会社都合退職者
3 賞与は休職期間、産前産後休業期間、育児・介護休業期間、その他の欠勤期間については、賞与査定期間から勤務しなかった日数分賞与を減額支給するものとする。
参考書籍
労働法第8版
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