毎月の賃金は、退職後であっても当然支払われます。では賞与の場合はどうでしょうか?
銀行を5月31日に退職した行員が、退職後に賞与が支払われなかったことを不服として最高裁まで争った事件があります。
このブログでは労使トラブルを防止・解決し、
会社を守るための就業規則はいかにあるべきかきを察していきたいと思います。
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毎月の賃金は、退職後であっても当然支払われます。では賞与の場合はどうでしょうか?
銀行を5月31日に退職した行員が、退職後に賞与が支払われなかったことを不服として最高裁まで争った事件があります。
銀行では6月15日及び12月10日の支給日在籍者のみに賞与を支払う慣行がありました。
行員は、6月15日の賞与ばかりでなく、12月10日の賞与の支払いまで求めてきました。5月31日に退職しているにも係わらず12月の賞与まで要求するとは、ずいぶん図々しいような気もしますが、査定期間がそれぞれ前年10月1日~同年3月31日までおよび同年4月1日~9月30日までなので、退職日まで1ヶ月半ほど査定期間が12月の賞与と重なってはいます。
1審は行員の請求を棄却、控訴審でも棄却、上告も以下の通り棄却されました。(大和銀行事件 最高裁第一小判 昭57.10.7 労判399.11)
銀行においては、年2回の支給日に在籍している者に対してのみ賞与が支給されるという慣行が存在していたところ、労働組合の要請によって慣行を就業規則の規定に明文化した。
その内容は合理性を有し、行員は銀行を退職した後の6月15日及び12月10日を支給日とする各賞与については受給権を有しないとした原審の判断は、正当として是認できる。
労働者が、退職後に賞与の支払を求めるトラブルがたびたび起こります。
学説や下級審において賞与の支給日在籍要件の有効無効の判断が分かれているところですが、最高裁がここにひとつの結論を下しました。
就業規則や労働協約において、賞与支給日に在籍している者に限って賞与を支給する旨が明文化されていた場合には、支給日前に退職した者に対しては賞与を支払う必要はない、ということになります。
逆もまた真なりで、就業規則や労働協約に支給日在籍要件が明文化されていない場合には、退職後といえども賞与支払い義務が生じる場合もあります。(日本ルセル事件 東京高判昭49.8.27 労判218.58 等)
支給日に在籍している予定だったはずが、労使交渉が長引くなどして賞与支給日が規定された予定より遅れ、退職後にずれこんだ場合には賞与請求権が認められています。(ニプロ医工事件 最判 昭60.3.12 労経速1226.25、須賀工業事件 東京地判 平12.2.14 労判780.9)
では、定年退職の場合はどうでしょうか?
就業規則等で定められている賞与支給日の後に定年退職日がやってきた場合には、賞与を不支給とする規定は有効とされた判例がありますが(カツデン事件 東京地判 平8.10.29 労判714.87)、学説には、賞与の賃金としての性格から反対意見が多いところです。(一例として、菅野和夫「労働法」第八版 P216)
退職日が自ら選択できない者に対しては、慎重に支給不支給要件を検討する必要がありそうです。
また、支給日在籍要件ではりませんが、退職予定者にそうでない者より大幅に減額した賞与を支給する旨の就業規則(賃金規程)が公序良俗に反するとした判決もあります。(ベネッセコーポレーション事件 東京地判 平8.6.28 労判696.17)
就業規則規定例
(賞与)
第○○条
会社は、前年11月1日から当年4月30日までを査定期間とし7月に夏期賞与を支給し、当年5月1日から当年10月30日までを査定期間として12月に冬期賞与を支給する。ただし、会社の業績、従業員の勤務成績等やむを得ない事由がある場合には、支給しないことがある。
2 前項の賞与は次の各号に該当する者に対し支給する。
(1) 査定期間中及び支給日に在籍し、かつ通常に勤務していた者
(2) 査定期間中に定年退職日が到来する者
(3) 査定期間中に死亡した者
(4) 査定期間中の会社都合退職者
参考書籍
労働法第8版
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